【要約】YOUR TIME ユア・タイム

書籍 YOUR TIME review

河出書房新社より出版されている 「YOUR TIME ユア・タイム: 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術」 のレビューです。

こんな人におすすめ

この本は、次のような方に特におすすめです。

  • 常に時間に追われていると感じる方
    時間不足に悩み、毎日のタスクに終わりがないと感じている方。 
  • 効率を求めすぎて疲れてしまった方
    生産性を重視するあまり、気づかぬうちに息苦しさを感じている方。
  • 定番の時間術を実行してもなかなか効果を実感できない方
    カレンダー、ToDoリスト、タイムログ、いろいろ試してはみたもののいまいち合わない方。

これらの方が、今の生活をより快適に、そして自分にとっての「充実した時間」を取り戻すためのヒントを得られる一冊です。

鮮やかな街中の時計
色鮮やかな街中の時計

著者の鈴木祐さんは科学ジャーナリストとして活躍され、これまでに10万本を超える科学論文を精読し、600人以上の海外の学者や専門医にインタビューを重ねてきた方です。豊富な知見と徹底したリサーチに基づく執筆活動を展開し、『最高の体調』『ヤバい集中力』『科学的な適職』『不老長寿メソッド』『進化論マーケティング』など、多くのベストセラーを世に送り出しています。その著書は科学的根拠に裏打ちされた内容で、多くの読者に支持されています。

多くの人が、時間が足りないと感じ、効率を上げようと努めますが、それがかえって時間に縛られる原因となることを著者は指摘しています。「時間術」による生産性向上の効果はわずかであり、多くの人が期待するほど仕事の効率を上げるものではない。むしろ「時間感覚」を意識することが、時間の使い方において重要だと著者は言っています。

私は普段から「なんとか短時間で仕事を効率的に終わらせて、プライベートや副業に時間を多く割けないか」と考えています。仕事は自分の貴重な時間を差し出す代わりに、お金を得る行為だと思ってます。得られるお金が同じであれば差し出す時間は少ない方が効率が良いと考え、「あなたの人生を変える最後の時間術」と表紙に書かれた本書を手に取りました。

ToDoリストなどの定番の時間術が効く人と効かない人がいることを丁寧に解説してくれます。また、本書は4×4の時間タイプに分け、それぞれのタイプに対して有効なエクササイズ(テクニック)を提案してくれるのが良いです!

時間感覚とは、個人の持つ予期と想起の捉え方

砂時計
砂時計

時間感覚

時間感覚」とは、個人が持つ「予期(未来への想像)」と「想起(過去の記憶)」の捉え方です。この「予期」と「想起」のバランスにより、私たちは時間を効率的かつ有意義に使えるかどうかが決まります。

本書では、「予期」と「想起」の2つの観点で人をタイプ分けしています。
予期とは、一言でいうと、未来に起きる出来事に対する予測です。
想起とは、一言でいうと、過去に起きた出来事に対する記憶です。

そして、本書にある時間感覚タイプテストという20の問いに答えることで、「予期」の観点で4パターン、「想起」の観点で4パターンにタイプ分けします。時間感覚タイプテストはこのブログでは書きませんので、ぜひ本書を手に取って問いに答えてみてください!

予期

予期は以下のTypeA~Dの4パターン
Type A:容量超過:いつも時間に追われて焦っておりキャパオーバー気味
Type B:禁欲家:しっかり計画を立てて作業をこなすが、人生の喜びを見失うことも
Type C:無気力:基本的なモチベーションが低く、いつの間にか時間がすぎている
Type D:浪費家:楽な作業ばかりを好み、重要なタスクが進まない

想起

想起は以下のTypeE~Hの4パターン
Type E:自信家:難しい作業にも果敢に挑むが、時に自分を過信して失敗する
Type F:怖がり:計画を立てるのはうまいが、失敗や批判を恐れ着手を先延ばししがち
Type G:悲観主義:時間の見積もりが甘く、作業中は不安やイライラに振り回されがち
Type H:楽天家:時間の見積もりが甘いが何とかなると思ってしまい、同じ失敗をしがち

ちなみに私は、予期が容量超過、想起が自信家でした。 この予期と想起のタイプはその時々によって変わるようです。例えば、仕事中とプライベートで異なるタイプになることもあるようですよ!

この本の口コミや感想を見ると、私のように予期が容量超過、想起が自信家という方が多いように見受けられます。まぁ、このような時間術の本を手に取る方は同じような属性なのかもしれませんね。

タイプ別のエクササイズ

エクササイズする男女
エクササイズする男女

本書の良いところは、時間感覚タイプに応じて、おすすめの時間術(エクササイズ)が示されている点です。

しかも、ちょっと手間はかかるが効果の大きいメインのエクササイズと、お手軽に試せるけど効果は少なめないくつかのオプションを提示してくれます。メインは、実行するには少し気合が必要ですし、継続するにもある程度の強い意志が必要です。対してオプションは気軽にできるもので、しかもいくつか提示されているので選んで試してみることができます。

さらに、タイプ別に最初はこのエクササイズを行って、続けられたら次はこのエクササイズ、続けられなかったらこのエクササイズ、などとちゃんとNGルートにも救済策を提示してくれているところが良いです。

ちなみに私のような予期が容量超過、想起が自信家には、 予期=容量超過の点について、「プレコミットメント」を行い自分の時間を確保してから「SSCエクササイズ」で予期の多さを減らす。 想起=自信家の点について、「誘惑日記」や「タイムログ・アドバンス分析」がおすすめとありました。

おすすめエクササイズ:プレコミットメント

事前に遊びや休みを計画に組み込むことで、作業の合間に意識的に休息を取り入れ、仕事に没頭しすぎないようにします。多忙な中でもリフレッシュする時間を確保することで、気持ちの余裕を保ち、幸福度を高める効果があります。

おすすめエクササイズ:SSCエクササイズ

開始(Start)/停止(Stop)/継続(Continue)」という3つのアクションを設定し、時間に余裕を作るエクササイズです。たとえば、週の初めに一週間の予定をリスト化し、その価値や緊急性、影響度を問いながら、優先度の低いタスクは削減します。これにより、予定を見直し、本当に重要なことに時間を使えるようになります。

おすすめエクササイズ:誘惑日記

「想起が肯定的すぎる」人におすすめのエクササイズで、日々の生活で時間を無駄にしてしまった誘惑について記録します。たとえば「SNSを見すぎて予定が一時間遅れた」などの失敗例を記すことで、無駄な時間への反省を促し、時間の使い方を見直します

特にSSCエクササイズは、単に「これを頑張ってやろう」ではなく「やらないこと」を決める、という点が良さそうだなと思い実際に行っています。週に一度、30分程度でできるのでおすすめです。ここでは手順を軽く触れただけなので、ぜひ本書を手に取って正しい手順で実践してみてください!

印象に残っているポイント

珈琲を飲みながら読書
読書の時間

特に印象に残っているポイントを順に紹介します。

時間にとらわれすぎることが効率を下げる原因になる

時間効率の追求が判断力を下げる。時間効率を上げるほど創造性が低下する

DIE WITH ZERO より引用

時間を意識しすぎることが逆効果になるというのは目から鱗です。時計ばかり気にしていると集中が途切れやすく、結果として本来のパフォーマンスが発揮できない、という現象に心当たりがある人も多いはず。生産性や効率に固執せず、意識を少しリラックスさせることでかえって仕事の質が上がることを、本書は提案しています。

「予期」と「想起」を整えることで時間感覚が変わる

正しい時間術とは、あなたの「予期と想起」を調整するものである

DIE WITH ZERO より引用

「予期(未来)」「想起(過去)」の視点から時間を管理するというユニークなアプローチが特徴的です。未来への想像力と過去の捉え方を適切に整えることで、現実的な時間感覚が身につきます。特に「未来や過去に振り回されがち」という人にとっては、自分の時間感覚を見直し、今を充実させる手助けになりそうです。

「時間がない」という悩みの根本原因

みんなが「時間がない」と口をそろえる一方で、実際は、私たちが持つ自由な時間は増えも減りもしていない

DIE WITH ZERO より引用

多くの人が「時間がない」と感じていますが、実際の自由時間が減ったわけではないのです。本書は、時間がないと感じる根本には「効率と生産性への過度な意識」があると指摘しています。効率の追求だけが時間の有効活用ではない、という視点が印象的です。日々の過ごし方に少しの「ゆとり」を持つことが、充実感に大きな違いをもたらすと考えさせられます。

まとめ:幸福度を高めるための時間術

腕時計の文字盤
腕時計の文字盤

この本が伝える「時間術」とは、仕事や効率を高めることよりも、いかにして人生を豊かにするかを考えた「幸福度向上」のためのツールです。「予期」と「想起」のバランスを整え、自分に合ったエクササイズを実践することで、時間の捉え方を変え、日々の生活に充実感を与えることができます。

今後、仕事やプライベートで時間に追われていると感じたときには、まず自分の「時間感覚」を振り返り、「何を求めて時間を使っているのか」を見直してみようと思います。効率を追求するのではなく、心地よく豊かな時間の流れを感じることが、人生を充実させる最初の一歩となると思うので!

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